相続手続きに必要な戸籍の集め方

戸籍謄本
不動産に限らず、預貯金、保険や株式等の財産について相続手続きをする際は、多くの書類が必要になります。その中で、揃えるのが特に面倒なのが、被相続人の出生~死亡までの全ての戸籍・除籍・改製原戸籍の各謄本だと思います。
登記に必要な戸籍類については、ご依頼をいただければ、我々がお客様に代わって取得することが可能ですが、ご自身で取得したいと仰る方もいらっしゃいます。
本コラムでは、相続手続きに必要な戸籍類の集め方について解説します。

戸籍・除籍・改製原戸籍とは

戸籍

戸籍とは、国民各個人の氏名及び生年月日や出生、婚姻、養子縁組、死亡等の身分関係の記録です。現在の戸籍制度では、「夫婦とその間の未婚の子」や「未婚の親と未婚の子」を単位として編成されます。

除籍

婚姻や死亡をすると、それまでの戸籍からは削除されます。戸籍に記載されている全員が婚姻や死亡により削除されると、それまでの戸籍は「除籍」として保存されます。
また、他市町村へ転籍した場合も、転籍前の戸籍は「除籍」として保存されます。

改製原戸籍

法改正により戸籍の改製(作り直し)が、過去に数回行われています。戸籍の改製がされると、それまでの戸籍は「改製原戸籍」として保存されます。

上述した3種類を総称して「戸籍」と呼ぶことも多くあります。(本ページでも同様です)

謄本と抄本の違いとは

謄本

謄本とは、戸籍等に記録されている全ての方の事項を記載して証明する書面です。戸籍をコンピュータ管理している自治体では、「全部事項証明」とも呼ばれています。
被相続人の戸籍類については、抄本ではなく「謄本」である必要があります。

抄本

抄本とは、戸籍等に記録されている方のうち一部の方の事項を記載して証明する書面です。戸籍をコンピュータ管理している自治体では、「個人事項証明」とも呼ばれています。
被相続人とは違い、相続人については、抄本で足りることもあります。

戸籍収集の大まかな流れ

被相続人の戸籍収集は、最後の戸籍(死亡の記載のあるもの)から出生へ向けて順次さかのぼって集めることになります。また、請求先は、その時々の本籍地の市区町村役場になります。
したがって、「改製後の戸籍→改製前の戸籍」・「転籍後の戸籍→転籍前の戸籍」・「婚姻後の戸籍→婚姻前の戸籍」のように、取得した戸籍からその直前の戸籍(本籍・筆頭者)を読み解いて各市町村役場へ請求することの繰り返しです。
戸籍の改製があった場合や、転籍や婚姻の前後を通じて同一の市区町村内に本籍がある場合、1つの市区町村役場で複数の戸籍類が保存されている場合も多くあります。

役所へ請求するときのポイント

戸籍収集をスムースに進めるための、いくつかのポイントを以下にお伝えします。

  • 目的を伝える

    役所の担当者には、相続手続きのための戸籍請求であることを伝えましょう。以下の2点を伝えると、役所の担当者が請求者の意図を理解しやすくなり、戸籍収集がスムースに進みます。窓口請求の場合は口頭で、郵送請求の場合はメモを添えましょう。

    ・「A山B太郎の死亡による相続手続きのための戸籍の請求です。」
    ・「A山B太郎の出生~死亡の間の戸籍のうち、御庁で保管している全ての謄本を交付してください。」

  • 小為替は多めに送る

    郵送請求の場合、役所へ納める手数料は定額小為替を郵送することになります。何通分の定額小為替を郵送すべきか、請求時点では不明なことも多いです。そんなときは、多め(3通分程度)を郵送しましょう
    そうすることにより、「小為替が750円分不足してるので、再度送ってください」といった役所との無駄なやりとりや時間を省くことが可能になります。

  • 返信用封筒の切手は、「とりあえず」で大丈夫

    上記と同様に、郵送請求の場合は請求時点では返信用封筒に貼付すべき切手の額が不明なことも多いです。切手の額が不足していると、「切手の額が不足しているので、不足分を追加で送ってください」といった連絡が役所からきます。
    そんな無駄なやりとりや時間を省くためにも、返信用封筒には"とりあえず"84円切手を貼って、切手の下にでも「不足分受取人払い」と赤ペンで書いておきましょう。このようにすれば、返信用切手に不足があっても役所は返送してくれて、不足分については郵便を受け取った後に収めることができます。

  • 役所を上手く利用する

    戸籍の読み方には不慣れな方々が大半だと思います。そのため、役所から交付された戸籍を手にしても、これで全て揃ったのか更に追加で請求が必要なのか分からないことも多いと思います。
    そんな場合は、「これでA山B太郎の出生までさかのぼれましたか?もし、これより古い戸籍の請求が必要であれば、どこの役所に請求すればいいですか?」といった疑問を率直に役所の担当者に聞いてみましょう。
    役所の担当者の対応次第な部分はありますが、一般の方々にとっては有益な情報や手掛かりを得られることもあると思います。

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